左の掛け軸は、当寺に伝わる江戸時代に作られた
「願牛寺全景図」です。
江戸時代に再興された願牛寺の本堂・庫裏等を中心として、願牛寺の立つ大高山の周囲(南・西・北の三方)を取りまく沼地や、周辺の村や寺(坂東報恩寺、三月寺、東弘寺等)や、絹川(鬼怒川)などが三幅の掛け軸(一軸の大きさは縦180センチ、幅60センチ)にわたって描かれています。
寺周辺の沼地は、享保年間の新田開発により現在では水田に変わったのですが、まだ変わった直後の当時の面影が残っている図としても歴史的に貴重なものといわれています。
上記全景図に描かれている各々の箇所がなにかを示すために、左図に地名などを記載しました。
願牛寺を中心に右に筑波山、絹川(鬼怒川)、石下村、南に古間木村、西に花輪村、飯沼天満宮などが描かれています。
また、願牛寺の伝説の舞台となった雁嶋、蓮枯沼、一心坊山、稲葉伊予守城址が描かれ、寺の法物である牛木、御船(槙の彫り船)までも描かれています。
これらは、当寺に親鸞聖人がご滞在中のこととして伝わっている事柄に関連したものです。